ITエンジニアは「1年目→3年目→5年目なら必ず○万円」という一律の上がり方ではありません。厚労省の2023年度委託調査では、設計・構築系の年収レンジ(第1四分位〜第3四分位)は、ITSSレベル1〜2で420〜620万円、レベル3で450〜700万円、レベル4で500〜780万円、レベル5以上で600〜950万円。経験年数そのものより、運用・監視から構築・設計へ進むなど、担当できる仕事の幅を広げることが重要です。
- ITエンジニアの最新年収データ
- スキルレベル別の年収推移
- 未経験1年目・3年目・5年目をどう考えるか
- 職種による違い
- 年収を上げやすくする方法
- よくある質問
ITエンジニアの年収はどれくらい?
まず注意したいのが、「ITエンジニア」という一つの職業に全員が入っているわけではないことです。厚生労働省job tagでは職種ごとに統計が掲載されています。
| job tag上の職種 | 全国の年収 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| システムエンジニア(Webサービス開発) | 578.5万円 | 37.1歳 |
| 運用・管理(IT) | 609.8万円 | 42.2歳 |
| システムエンジニア(基盤システム) | 889.0万円 | 38.3歳 |
※job tag掲載の令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査を加工した値。職業分類や集計対象が異なるため、数字をそのまま「未経験者の初年度年収」として使うことはできません。
「平均年収578万円だから未経験でも578万円もらえる」という意味ではありません。平均には経験者も含まれます。未経験転職では、求人票の初年度条件と、その後どんな業務へ進めるかを分けて見る必要があります。
年収推移は「勤続年数」よりスキルレベルで見る
厚労省job tagには、2023年度の委託調査をもとにしたITSSスキルレベル別給与データがあります。設計・構築分野では次のレンジです。
| スキルレベル | 年収レンジ | イメージ |
|---|---|---|
| ITSS レベル1〜2 | 420〜620万円 | 基礎を身につけ、指示や支援を受けながら担当 |
| ITSS レベル3 | 450〜700万円 | 担当領域を自立して進められる層 |
| ITSS レベル4 | 500〜780万円 | 高度な専門性を持つ層 |
| ITSS レベル5以上 | 600〜950万円 | 高い専門性・責任を担う上位層 |
※金額は平均ではなく、第1四分位〜第3四分位の範囲。棒の長さは上限値を950万円として視覚化。
未経験1年目・3年目・5年目ではどう変わる?
公的統計から「未経験1年目=○万円、3年目=○万円」と全IT職種共通の数字を断定するのは適切ではありません。そのため、ここでは年数ごとに何を目指すと年収アップにつながりやすいかを整理します。
| 時期 | 意識したい状態 | 年収アップにつながる動き |
|---|---|---|
| 未経験〜1年目 | IT基礎と実務の流れを覚える | PC・ネットワーク・Linux・クラウドなど担当職種の土台を固める |
| 2〜3年目 | 定型業務だけでなく自分で判断できる範囲を増やす | 監視→運用、問い合わせ対応→システム管理など一段上の業務へ |
| 4〜5年目 | 構築・設計・改善など上流寄りの経験を持つ | AWS/Azure、ネットワーク設計、セキュリティ、プロジェクト経験など専門性を作る |
| それ以降 | 専門性またはマネジメントを深める | クラウド・セキュリティ・アーキテクト・PL/PMなどへ広げる |
5年在籍しただけで自動的に高年収になるわけではありません。同じ定型業務を続けるより、「できる工程を増やす」「専門分野を作る」ほうが、スキルレベルと市場価値を上げやすくなります。
職種によって年収の伸ばし方も違う
インフラ・ネットワーク
監視・一次対応から入り、運用、構築、設計へ担当工程を上げていくのが一つの王道です。ネットワークに加えてLinuxやクラウドを扱えると、選択肢を広げやすくなります。
クラウド
AWSなどのサービス名を覚えるだけでなく、Linux・ネットワーク・セキュリティの基礎を組み合わせることが重要です。オンプレミスからクラウドへの移行や設計・構築経験は、より上位の業務につながります。
社内SE・ヘルプデスク
問い合わせ対応だけでなく、アカウント管理、端末管理、ネットワーク、SaaS、ベンダー調整、業務改善など担当範囲を広げられるかがポイントです。
セキュリティ・SOC
監視からスタートしても、ログ分析、インシデント対応、脆弱性管理、クラウドセキュリティなどへ専門性を深めることでキャリアの幅が広がります。
ITで年収を上げるために見るべき5つ
- 担当工程:監視・一次対応だけでなく、運用、構築、設計へ進めるか
- 技術領域:ネットワーク、Linux、クラウド、セキュリティなど市場で使われる技術に触れられるか
- 実務経験:資格だけでなく、実際に何を担当したか説明できるか
- 求人のキャリア:入社後の配属だけでなく、2〜3年後にどんな仕事へ移れるか
- 転職時の評価:年数ではなく、担当範囲・成果・スキルを具体的に伝える
未経験転職で一度年収が下がってもダメ?
必ずしもそうとは限りません。異業種から未経験で入る場合、前職の給与水準によっては初年度の年収が下がるケースもあります。見るべきなのは初年度だけではなく、経験を積んだあとに担当業務と給与が上がる構造があるかです。
一方で「ITなら将来必ず高収入」と考えて大幅な条件ダウンを無条件に受け入れるのも危険です。求人票では基本給、固定残業代、賞与、夜勤手当、昇給、仕事内容を確認しましょう。
よくある質問
求人や地域、前職経験、職種によって大きく異なるため一律には言えません。公的な職種平均には経験者が含まれるので、応募時は「未経験可」の求人条件を個別に比較するのが確実です。
年数だけでは保証されません。厚労省データでも給与レンジはスキルレベルによって重なっています。担当工程や専門性、企業規模・地域など複数の要因で変わります。
資格だけで給与が自動的に上がるとは限りません。ただし未経験時の基礎学習や、CCNA・LinuC・AWS系など目指す職種に沿った知識の証明には活用できます。最終的には実務経験との組み合わせが重要です。
クラウドは有力な選択肢ですが、職種名だけで高年収になるわけではありません。Linux・ネットワーク・セキュリティなどの基礎と、設計・構築・運用改善などの実務経験を積むことが重要です。
まとめ
ITエンジニアの年収は、単純な勤続年数よりもスキルレベル・担当工程・専門性で見るほうが実態をつかみやすいです。厚労省のスキル別データでは、設計・構築分野でITSSレベル1〜2の420〜620万円から、レベル5以上の600〜950万円までレンジが広がっています。
未経験からなら、まず入口の職種に入り、そこから「運用→構築」「ヘルプデスク→社内SE」「インフラ→クラウド」「監視→セキュリティ分析」のように、次に何ができるようになるかを意識して求人を選ぶのが大切です。
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参考データ
厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」のシステムエンジニア(Webサービス開発)、システムエンジニア(基盤システム)、運用・管理(IT)各ページ、および賃金構造基本統計調査。統計値は記事作成時点で掲載されている最新値を参照しています。職業分類・調査対象が異なるため、個人の給与を保証するものではありません。